人に何かをやらせる「~させる」という表現を使役と言います。韓国語でも使役の表現があり、いくつかの表し方あります。
今回はそんな使役の表現方法とそれぞれの違いについて解説したいと思います。
使役とは?
使役とは、日本語では「○○をやらせる、させる」という言い方の文法です。韓国語では、主に①~게 만들다②~게 하다③시키다を使った表現の仕方があります。
~게 만들다「~させる」「~するように仕向ける」
「作る」という動詞만들다を使った表現です。~게は「~するように」という意味で、状況をある状況の方向に持っていくというようなニュアンスがあります。
あえて直訳すると「そういう状況になるように作る」という感じですかね。基の単語から使役っぽい雰囲気が感じられるので、そんなに覚えるも難しくないかと思います。
前には形容詞や動詞が付きます。後に説明する~게 하다とおおよその場合は言い換えることができますが、~게 만들다の方が「させた感」が強い感じがあり、意図的に仕向けた感じがします。
왜 동생을 울게 만드는거야?
(どうして弟(妹)を泣かせるんだ。)
엄마를 슬프게 만들지 마.
(ママを悲しくさせないで。)
~게 하다「~させる」「~するようにする」
~게 만들다と同じような感じです。~게 만들다よりは、使役のニュアンスが少し弱く、例えば「自分にやらせてください」とか「そういう状況にやむを得ずなってしまった」「何かの目的のためにこういうことをするようにしてください」みたいな場合にも使えます。
意図的に仕向けるようなニュアンスがないので、そういう場合には~게 만들다と言い換えることができません。
엄마를 슬프게 하지 마.
(ママを悲しませないで。)
애들한테 밥 빨리 먹게 해 줘.
(子供たちにごはんを早く食べさせて。)
오늘은 친구 집에 가게 해 줘요.
(今日は友達の家に行かせてください。)
※許可を取る言い方 ~게 만들다では言い換えられない用法です。~게 만들다にしてしまうと、意図的に行かされる状況を仕組んでほしいという感じに聞こえます。
꼭 이 약을 먹게 해 주세요.
(必ずこの薬を飲ませてください。)
※世話としての使役や、習慣としての使役についても、~게 만들다に言い換えにくい用法です。~게 만들다にすると、飲むことになるように意図的に仕組めという感じに。
名詞+시키다「○○させる」
시키다自体は「~させる」という意味があり、前に名詞を付けることで、「それをさせる」という意味になり、使役の表現として使えます。
부머님한테는 많이 고생시켰습니다.
(ご両親にはとても苦労をかけました。)
여자 소개시켜.
(女の子を紹介させろ。)
※カースト的に下な奴らに女の子を紹介するよう命令しろ、と言っている感じです。笑 登場人物が、↑のセリフを言う人、言われている人、実際に女の子を紹介しなくてはならない人の3立場ある感じ。
また、名詞に助詞「~を」の을,를を付けることもあります。前に来る名詞によって助詞が省かれがちな名詞はあると思いますが、助詞があるかないかは意味としてそんなに大きな差をありません。
잘 청소를 시켜요.
(ちゃんと掃除をさせてください。)
※こちらも、↑のセリフを言う人、言われている人、掃除を実際にする人、の3立場を想定してください。
부장님은 맨날 야근을 시켜.
(部長はいつも残業をさせる。)
日本語訳を見ると混乱してしまいそうですが、시키다はあくまで「第三者にやらせる」を表す表現です。「自分にやらせろ」としては使わないので、注意!
「注文する」の意味の시키다
시키다は「~させる」以外にも、それ単体で「注文する、出前を頼む」という意味があります。韓国では、出前が日本よりも頻繁に使われるので、この言葉もよく聞きます。
오늘 점심은 짜장면 시키자.
(今日のお昼はジャージャー麺を頼もう。(出前で呼ぼう。))
니가 좋아하는 거 시켜.
(君が好きなものを頼みなよ。)
使役動詞
その他韓国語では、普通の動詞や形容詞に「이・히・리・기・우・구・추」を付け加えると使役動詞になるものがあります。
要は、これらが入ると「自らが勝手に行うこと」→「他に対して行うこと」または「他にやられること」という感じで意味が変化します。物によっては自動詞→他動詞になっているものも。
実は同じ原理で、受け身になる動詞もあります。ここでは主に使役になる動詞を紹介しますが、受け身の意味になる動詞があるということも知っておきましょう。
이が付く使役動詞
먹다(食べる) | 먹이다(食べさせる) |
붙다(くっつく) | 붙이다(くっつける) |
속다(騙させる) | 속이다(騙す) |
죽다(死ぬ) | 죽이다(殺す) |
높다(高い) | 높이다(高める) |
끓다(沸く) | 끓이다(沸かす) |
녹다(溶ける) | 녹이다(溶かす) |
보다(見る) | 보이다(見せる、見える) |
줄다(減る) | 줄이다(減らす) |
라면 끓여 먹자.
(ラーメンを茹でて(沸かして)食べよう。)
※韓国語では、ラーメンは「作る」なく「沸かす」を使います。
찍은 사진을 보여 주세요.
(撮った写真を見せてください。)
설마 날 속인 거야?
(まさか私をだましたの?)
히が付く使役動詞
앉다(座る) | 앉히다(座らせる) |
앍다(読む) | 읽히다(読ませる) |
입다(着る) | 입히다(着せる) |
익다(熟れる、煮える) | 익히다(熟させる、煮る) |
눕다(横になる) | 눕히다(横にさせる) |
식다(冷める) | 식히다(冷ます) |
넓다(広い) | 넓히다(広める) |
좁다(狭い) | 좁히다(狭める) |
밝다(明るい) | 밝히다(明かす) |
진실을 밝혀 야죠.
(真実を明かさなくてはいけません。)
태민이는 아거 압하고 나가요.
(テミンにはこれを着させて、でかけましょう。)
리が付く使役動詞
알다(知る) | 알리다(知らせる) |
울다(泣く) | 울리다(泣かす) |
살다(生きる) | 살리다(生かす) |
돌다(まわる) | 돌리다(回す) |
늘다(増える) | 늘리다(増やす) |
마르다(渇く) | 말리다(乾かす) |
뭔가 필요하시면 알려 주세요.
(何か必要でしたらお知らせください。)
맨날 울기만 하는 남친따윈 필요없어.
(毎度泣かせるような彼氏なんていらない。)
기が付く使役動詞
맡다(預かる) | 맡기다(預ける、任せる) |
웃다(笑う) | 웃기다(笑わせる、笑える) |
숨다(隠れる) | 숨기다(隠す) |
벗다(脱ぐ) | 벗기다(脱がせる) |
남다(残る) | 남기다(残す) |
굶다(飢える) | 굶가다(飢えさせる) |
씻다(洗う) | 씻기다(洗わせる、洗われる) |
진짜 웃겨.
(超ウケる。)
이 일은 저한테 맡기세요.
(この仕事は私に任せてください。)
우が付く使役動詞
깨다(目が覚める) | 깨우다(起こす、覚ます) |
비다(空く) | 비우다(空ける) |
서다(止まる) | 세우다(止める) |
자다(寝る) | 재우다(寝かす) |
타다(乗る) | 태우다(乗せる) |
여기서 차 세워요.
(ここで車を止めてください。)
오늘 아침은 일직 깨웠다.
(今日の朝は早く目が覚めた。)
추が付く使役動詞
낮다(低い) | 낮추다(低くする) |
맞다(合う) | 맞추다(合わせる) |
쪽수는 맞춰야 되지.
(頭数はそろえないとな。)
구が付く使役動詞
돋다(出る) | 돋구다(出させる) |
일다(起こる) | 일구다(起こさせる) |
まとめ:使役は結構奥が深い
意外と奥が深い使役。~게 만들다と~게 하다の違いは、ドラマなどのいろいろな例文をたくさん聞いてみたほうが、ニュアンスがつかみやすいかもしれません。
動詞自体が使役に変化するものについては、「これは使役」「これは受け身」というより、イメージとしては自動詞⇔他動詞っていう感じで覚えたほうがわかりやすいかもしれません。結果として使役や受け身になっている、というふうに私は捉えています。
これも全部をすぐ覚えないといけないというわけではありません。自分がよく聞くものから優先に覚えていければ全然大丈夫。K-POPの歌詞でよく聞くものもありますよ♡
こういった構文は、よく聞くフレーズを一つの型として覚えておくのが一番いいかと!ぜひ参考にしてみてください!