自分の口からはなかなか使わないような気がする命令形ですが、簡単なお願いや指図の意味でもこの命令形は使われます。今回はそんな命令形について、細かく解説していきます!!
基本の命令形
韓国語における基本的な命令形は、다を取り、아/어を付けるだけ。これで命令形は完成します。言い方によって言いたい雰囲気を調整することができ、強い口調で言うと強めの命令に、普通の口調だとやわらかい促しに、といった感じで与える印象を変えることができます。
基本形 | 意味 | 命令形 |
---|---|---|
먹다 | 「食べる」 | 먹어. |
보다 | 「見る」 | 봐. |
가다 | 「行く」 | 가. |
하다 | 「する」 | 해. |
빨리 먹어.(早く食べろ。(食べて。))
이거 봐.(これを見ろ。(見て。))
命令形は基本敬語ではないので、タメ口(パンマル)ですが、요をつけても、やわらかい促しのようなニュアンスで、使うことができます。パンマルだと「やれ」という感じですが、요をつけると「やってください」という感じ。
빨리 먹어요.(早く食べてください。)
이거 봐요.(これを見てください。)
では、~주세요(~してください。)と何が違うんですか、という話になると思います。~주세요は、日本語訳ではわかりにくいですが、お願いをしている、頼み込んでいるニュアンスです。
対して、命令形の요は、あくまで命令形なので、お願いをしているニュアンスはありません。日本語で言うと「やって=~요」と「やってくれ=~주세요」という感じ。「やってくれ」の方が、頼む意味合いがより強いですよね。
命令の語尾「라」
より強い命令を表す語尾に「~라」があります。「~라」は相当強い命令なので、日常会話で使うとかなり高圧的な印象になってしまいますので、あまり使わないかもしれませんが、映画などではよく聞く表現です。
活用としては、아/어+라。陽母音と陰母音で아か어に活用します。
基本形 | 意味 | 命令形「라」 |
---|---|---|
먹다 | 「食べる」 | 먹어라. |
보다 | 「見る」 | 봐라. |
가다 | 「行く」 | 가라. |
하다 | 「する」 | 해라. |
빨리 먹어라.(早く食え。)
이거 봐라.(これを見ろ。)
日本語訳の印象としてもこれくらい違います。「~라」に関しては、敬語はありません。とても強い表現で、目下と言えどかなり圧の強い言い方なのであまり使う機会はないかなと思います。(というか、使わないほうがいいかも笑)
敬語の命令「~십시오」
敬語にも命令形があります。~십시오は、합니다体の敬語語尾の一つですが、これは命令形です。敬語の命令形というとピンとこないかもしれませんが、強めのお願いという感じ。公共の場などでのルールや規則など、守らなければならない事項の説明などに使われます。飛行機に乗った際のアナウンスでもよく聞きますね。
または、ちょっとした促しの意味合いです。活用としては、語幹(다を取った形)+십시오。先ほどと同じく、「~주세요」ほどに頼み込むニュアンスはありません。
이 서류를 가져 오십시오.
(この書類をお持ちください。)
여기 앉으십시오.
(こちらにおかけください。)
禁止の命令「~지 말다」
「~するな」という禁止の命令の場合には、~지 말다を追加します。活用としては、語幹+~지 말다。
거기 가지 말아.
(そこに行くな。)
이건 먹지 말아.
(これは食べるな。)
~지 말다は、語尾に요を付けることで丁寧の禁止命令の表現もできます。また、しばしばㄹが脱落することがあります。動詞하다を例に見てみると、、、
ㄹが脱落しない | ㄹが脱落する |
---|---|
하지 말아 | 하지 마 |
하지 말아라 | 하지 마라 |
하지 말아요 | 하지 마요 |
ㄹの脱落の有無について、意味として大きい違いはなくどちらを使っても大丈夫。会話ではより短い方が言いやすいようで、脱落した言い回しが多く使われる印象があります。
말다は「やめる」という動詞なので、色々な語尾を持ってくることができます。
~지 마세요./ 마십시오.「~しないでください。」
ヘヨ体とハムニダ体の言い回しです。相手に対し、やめる旨をお願いするニュアンスです。마세요.は会話でよく使う表現で、마십시오.は、公共の案内やアナウンスなどでよく使われる言い回しです。
그런 말 하지 마세요.
(そんなこと言わないでください。)
오늘은 나가지 마십시오.
(今日は出かけないでください。)
~지 말고「~しないで」
~고は、文と文をつなぐ接続語尾ですが、これを文章を終わりにする終結語尾としても使います。特に~지 말고は、会話でよく使われる表現で、「~しないでね」と念押しするような意味合いがあります。
술 많이 마시지 말고.
(お酒をたくさん飲まないでね。)
もちろん、元々の意味の接続語尾としても使います。
술 많이 마시지 말고 빨리 집에 와.
(お酒をたくさん飲まず、早く家に帰って来な。)
~지 말자./맙시다.「やめよう/やめましょう」
勧誘の語尾をつけることで、「○○することは(一緒に)やめましょう」という意味の文章になります。友達同士の間柄で、「~지 말자.」はとてもよく聞く表現です。
~맙시다.は、日常会話ではあまり使うことはないかもしれませんが、相手とあえて距離感があると強調するために、こういった堅い言い方をするシーンをドラマなどでよく見ます。笑 こういう言い方もあるんだな~くらいでOKです。
오늘은 거기 가지 말자.
(今日はそこに行くのやめよう。)
우리 사랑하지 말자.
(僕たち、愛し合うのをやめよう。)
※日本人はよくわからない言い回しかもしれませんが、「この恋愛を終わらせる」という意味合いでこういうことを言ったりします。「お互い好きでいてもいいことないしつらいから、もうやめよう」という、そんな感じのニュアンス。遠回しの別れ文句ですね。
形容詞の禁止命令
形容詞も禁止命令にすることができます。活用は動詞と同じで、語幹~지 말다。ㄹの脱落に関しても同じです。
原型 | 禁止形 |
---|---|
아프다 | 아프지 마. |
슬프다 | 슬프지 마 |
행복하다 | 행복하지 마 |
이제 끝난 일이야. 더 이상 아프지 마.
(もう終わったことだよ、もうこれ以上苦しまないで。)
슬프지 마.좋은 일이 있을거야.
(悲しまないで、いいことがあるよ。)
親しい間柄で使う表現です。形としては禁止命令ですが、訳としては「~しないで」といった感じ。아프지 마.はとてもよく使う励まし文句。「つらくならないで」としか訳しようがないのですが、すなわち「元気出して」に匹敵する意味合いです。
행복하지 마.は、「幸せになるな」という訳になり、「幸せになっているのが腹立つ」=「不幸になればいいのに」といった感じ。
前に来る形容詞によって、マイナスの意味なのかプラスの意味なのか、結構変わってきますね。日本語ではあまり言わない形容詞の禁止命令ですが、感覚が分かってくると、一言で思いを表現しやすい便利な表現です。
禁止命令として使わない形容詞もたくさんあるので、誰かが使っていた表現を真似するくらいの感じで習得していくといいのかなと思います。
◆まとめ:意外に使える命令形
いかがでしたか?「命令形」と聞くととても強そうに聞こえるので、なかなか使う機会はないんじゃないのかと思いますが、簡単な要求や促しの意味合いでも使えるので、結構日常生活でもよく聞きます。
特にドラマやバラエティなどでは、かなり出てくるので、自分の口から使わなくても理解できるに越したことはないかと思います。
ちなみに10cmの「봄이 좋냐?(春が好きか?)」という曲がありますが、この曲は命令形や禁止命令の表現がたくさん出てきます。春を愛でる恋人たちを見て、「なにがそんなに楽しいんだバカか、みんな爆発しろ」みたいな歌詞を、かわいい春めいた音楽に乗せて歌っていて、とてもおもしろいしかわいいオススメの曲です。
勉強の意味でも、K-POPとしてもオススメの曲です、ぜひ聞いてみてね~♡