韓国語では、日本語にはない「存在詞」というものがあり、これが있다「ある、いる」없다「ない、いない」のことを指しています。存在詞という呼び名が日本にはありませんが、日本語にまったくない言葉ではありません。しかし、ちょっと感覚が異なりますので、今一度改めてマスターしていきましょう^^
存在詞とは?
存在詞とは、韓国語では있다「ある、いる」없다「ない、いない」のことを指します。
日本語では、人や生き物には「いる・いない」、物には「ある・ない」で表現しますが、韓国語は人であろうと生き物であろうと物であろうと、すべてこの있다・없다を使います。
日本語では2つに分かれているけど、それが1つになっちゃうので、使い方としては簡単かもしれませんね!単に「ある・ない」以外でも、있다・없다を使った構文や単語は多く、韓国語を学ぶ上での基礎中の基礎といっても過言ではありません。
存在詞있다・없다の使い方
存在詞といえど、活用の方法は他の動詞や形容詞を変わりません。どちらも陰母音(이・어)なので、後には어が付きます。
原型 | スムニダ体 | ヘヨ体 | パンマル |
---|---|---|---|
있다 | 있습니다 | 있어요 | 있어 |
없다 | 없습니다 | 없어요 | 없어 |
前述した通り、人でも物でも動物でも、存在について述べるときはなんでも있다・없다を使います。
저는 동생이 있습니다.
(私は、弟(妹)がいます。)
여기 책이 있어요.
(ここに本があります。)
저기 있는 사람은 누구야?
(あそこにいる人は誰?)
오늘은 아버지가 집에 앖어.
(今日はお父さんが家にいない。)
내 가방 여기 없었어?
(私のカバンなかった?)
그건 없는 것으로 하자.
(それはなかったことにしよう。)
ちなみに、있다の敬語として계시다「いらっしゃる」があります。これは、目上の人の存在についてを話す場合に使う言葉です。ポイントなのは、今現在対話している相手が目上かどうかではなく、話に挙がっている人が敬うべき人なのかどうかということです。
거기 선생님이 계십니까?
(そこに先生はいらっしゃいますか?)
この場合、話に挙がっている선생님(先生)は敬うべき対象なので、「いる」の意味合いとして계시다が使われています。語尾も~습니까?が使われているので、この質問をしている相手も敬うべき対象である、と言う状況です。
거기 선생님이 계셔?
(そこに先生はいらっしゃる?)
こういう使われ方もあります。この場合、1つ目と同じく話に挙がっている선생님(先生)は敬うべき対象なので、계시다を使っているものの、語尾は계시다+어、つまりパンマルになっています。なので、この質問をしている相手は、タメ口で話せるほどの距離感の人間ということになります。
日本語では、どちらかというと今話している相手が敬うべきなのかどうか、ということに重きが置かれるため、話に挙がっている人が敬うべき対象でも、話し相手が友達などであれば普通に「いる」を使うことも多いと思います。
韓国語では、敬語の動詞や存在詞を使う場合に大事なのはあくまで話に挙がっている人。(もちろん話し相手が敬うべきかも大事、その場合は語尾で敬う意味合いを付加します。)
なので、2つ目のように、敬語のはずなのに、語尾がパンマル、というややこしい状態が発生します。笑 日本語ではあまり言わない言い回しかもしれませんが、韓国ではよくあるので、覚えておくといいと思います。
있다・없다を使った構文
있다・없다は、構文として定着しているものの中にもよく使われています。
~고 있다「~している」
【動作の進行】を表す構文です。英語でいうところの~ingにあたります。次に紹介する【状態の維持】と混同してしまいますが、ある動作を継続して今行っていることを表します。
そのため「座る」「立つ」など、行動というよりは状態を進行的に維持している場合には、後に紹介する【状態の維持】の構文を使います。
지금 운동하고 있어요.
(今、運動をしています。)
아/어 있다「~している」
【状態の維持】を表す構文です。訳としては、【動作の進行】と同じですが、「歩いている」「食べている」などの動作ではなく、こちらは「立っている」「座っている」「寝ている」など、いわゆる状態を維持していることを表します。
여기 앉아있어.
(ここに座ってて。)
~ㄹ 수 있다/없다「できる/できない」
【可能と不可能】を表す構文です。수の後に助詞が入ることがあり、~ㄹ 수가 있다/없다「~することができる、できない(強調の意味)」、~ㄹ 수도 있다/없다「~することもできる、できない」など、ニュアンスを変えて使うこともできます。
저는 수영할 수 있어요.
(私は泳ぐことができます。)
이 번 참을 수가 없어.
(今回は我慢できない。)
~리가 있다「~ということもありえる」~리가 없다「~のはずがない」
【可能性の有無】を表す構文です。리自体には、「わけ、理由、はず」という意味がありますが、ほとんどこの構文でしか使わないので、フレーズとしてこのまま覚えるといいと思います。
그러다「ああだ」など指示的な動詞とよく使われます。
진짜 그럴 리가 있을 거 겉아?
(本当にそんなことがあると思うの?)
그럴 리가 없어요.
(そんなはずがありません。)
~ㄴ 적이 있다/없다「~したことがある/ない」
【経験の有無】を表す構文です。これまでの自分の経験について話すときにとても役に立つ便利な構文で、自己紹介するときなどかなり使えます。
過去のことについて話す構文なので、前の動詞は過去の連体形になります。
미국 간 적이 있어요?
(アメリカに行ったことがありますか?)
있다・없다を使った単語
맛이 있다/없다「おいしい/まずい」
맛が「味」という意味で、それが「ある/ない」で「おいしい、まずい」を表します。旅行でもすぐに使える基本中の基本の単語ですね!
ちなみに、味自体が特に何もしない、ない場合は、맛이 안 나다(直訳では「味が出ない」)を使うことが多いです。
재미 있다/없다「おもしろい/おもしろくない」
재미が「おもしろみ、おもしろさ」という意味があり、それが「ある/ない」で「おもしろい、おもしろくない」を表します。
「楽しい」というよりは、おもしろみを感じられるものに使われ、日本人としては使い分けが難しいと感じる部分があるので、実際の色々な会話に触れて、細かいニュアンスを把握したほうがいいかなと思います。
있는 그대로「そのままの姿で、ありのまま」
存在詞は、おおよその場合「○○がある、ない」のように、主語にあたる○○の部分が必要ですが、ないまま使われることもあります。
있는 그대로だけに限らず、있는 무습「そのままの姿」など、“ありのままの自分の姿””今のままの状態、飾らない状態”を指すときに韓国語では있는~という言い回しをします。
있어/없어 보여「イケてそう/ダサい」
これも主語がない使い方です。直訳は「ありそうに見える」「なさそうに見える」。
“何が”というのがないのですが、要はセンスや雰囲気、オーラなどが洗練されていて、「かっこよさそう、頭よさそう、スマートそう」に見える状態を있어 보여と言い、逆にこれらが全く感じられない「何もできなさそう、ダサそう、どんくさそう」に見える状態を없어 보여と言います。
これは比較的俗語的表現ですが、韓国人の会話やバラエティなどでよく使われる表現なので覚えておきたいところ。
どちらの場合も明確な根拠や理由があろうとなかろうと、雰囲気で自分がそう思う場合に使うことができます。
まとめ:存在詞は基本中の基本
存在詞は、参考書でも始めに習う言葉であり、そのままの使い方はもちろん、色々な構文や単語にも使われ、会話でも非常によく使う言葉です。
意味としては特段難しい部分はありませんが、活用や語尾との合わさり方など、迷うことがないように、最初の段階でしっかり押さえておきましょう!